V2H導入について

充電器情報

V2Hってご存じですか?
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)をお持ちの方は聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに貯めた電力を自宅でも使えるようにするシステムで災害時に停電になっても数日間家の電気がまかなえたり、太陽光発電した電力を直接車両に充電もできるシステムです。
ただ、非常に高価なのは事実です。
が!実は費用の大部分を国・都道府県・自治体から補助金が出るので実質支払い費用が思ったほどかからないのです。
今回はそのV2Hについて補助金の話も含めご紹介したいと思います。

V2Hとは?

V2Hとは「Vehicle to Home」の略称になります。
「クルマから家へ」という意味になり電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに貯めている電力を、自宅で使えるようにする機器の事をV2Hといいます。

通常自宅に設置しているEV充電器は家庭用の電力を電気自動車(EV)へ充電するのみの機器で電気自動車(EV)の電力を自宅へ送電し使うことはできません。
V2Hを導入すると家庭用の電力を電気自動車(EV)へ充電するだけではなく、電気自動車(EV)の電力を自宅に送電することができるようになります。

よって、V2Hを導入していれば災害時などに停電になっても電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに貯めている電力を自宅で使うことができ災害対策にもなります。
また、電力が安い夜間に電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に充電しそれを昼間に使ってコスト削減なんていう使い方も可能になります。

V2H導入のメリット・デメリット

メリット

1.災害時に停電になった場合の対策になる
  ⇒V2Hを導入する最大のメリットではないでしょうか。日産リーフ40kWモデルだといつも通り電気を使っても一般家庭の約2~4日分持つと言われています。

2.災害時、電気自動車(EV)はガソリン車に比べて、燃料(電気)確保がしやすい。
  ⇒過去大災害を見ても電気は一番早く復旧しており、ガソリン車のように数リットルのガソリンを入れるのに数時間並ぶなんてことも不要です。

3.電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の電力を家庭で活用できる
  ⇒昔ほどメリットは減りましたが夜間の電気代が安い時間に電気自動車(EV)に充電をして電気代が高い昼間にその電力を家庭で使うことも可能です。

4.電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の充電時間の短縮になる
  ⇒通常家庭用充電は充電出力が3kWですがV2Hシステムを導入すると6kWでの充電が可能になり出力が2倍になるので充電時間も1/2になります。大容量バッテリー搭載車ですと一晩で100%充電終わらない場合もありますので充電時間1/2になればそういうことも減ると思います。

デメリット

1.初期投資が掛かる
  ⇒国、都道府県、自治体から補助金が支給されるとはいっても補助金は購入後に時間が経ってから振り込まれますので一旦費用全額の建て替えが必要なのと、補助金を考慮してもいくらかの持ち出しは必要になります。

2.稼働時の音がする
  ⇒V2Hは冷却用のファンがついているものが一般的であり、エアコンの室外機レベルの音がしますので音に敏感な方はご注意下さい。

3.バッテリーが劣化する
  ⇒バッテリーは電気の出し入れ回数に比例し劣化しますので少なからずV2Hで電気自動車(EV)から家庭への送電を行えば少なからず劣化は早まる傾向にあります。
但し、家庭への送電出力は10kW以下であり、急速充電出力の50kW、150kWなどの出力に比べたらかなり低いのでそれほど劣化を気にするレベルではないかと思います。

4.設置スペースが必要になる
  ⇒本体幅で約80~100㎝、+α(アルファ)の設置スペースは必要になります。
   車両の近くに置くのが一般的だと思いますので事前に設置場所を確認しておく必要があるでしょう。

V2Hのシステムの種類

一言にV2Hといってシステムの違いがあり間違った仕様を導入してしますと思い描いていたライフとかけ離れた使い勝手になりますので最低限下記2種類は押さえておきましょう。

「非系統連系型」と「系統連系型」の違い

V2Hを導入すると最大以下3つの電力供給系統ができます
①送電線経由で電力会社からの送られる電力
②V2H経由でEVやPHEVからの電力
③太陽光発電でつくられる電力

非系統連系型」とは、上記系統のうち同時に使えるものはなくどれか1つのみしか使えません。
系統連系型」とは、上記3つの系統を同時に使えます。

太陽光発電を導入しているご家庭の場合、昼間に発電された電気をEV・PHEVのバッテリーに充電しておき、夜間に家庭に給電するといったこともできます。
また、系統連系型のV2Hなら、大きな災害が発生し停電期間が数日に及んでも自宅で電気を使い続けることができるので、現在は系統連系型のV2Hが主流となっていますのであえて「非系統連系型」を選ぶことはないでしょう。

「特定負荷型」と「全負荷型」の違い

V2Hによって供給できる電力量が異なります。
大きく分けて「特定負荷型」と「全負荷型」の2つあります。

特定負荷型」は、使用する電気の供給先、量が限定されるタイプになり。家全体に供給する事はできません。あらかじめ設定した送電先以外では使うことはできず、あくまで短時間の緊急用といったイメージです。

全負荷型」のV2Hは家全体に送電することが可能で、EV・PHEVが搭載する大容量バッテリーの範囲内であれば、停電時に自宅にあるすべての電気を使うことができます。

補助金情報

参考で2023年度の補助金についてご紹介したいと思います。
補助金には①国からの補助金、②都道府県からの補助金、③各自治体(市町村)からの補助金があります。②、③はお住いの地域により補助金の有無と金額が変わってきます。
それぞれについてご紹介したいと思います。

国からの補助金(2024年度見込み)

V2H設備費上限75万円(補助率1/2)
設置工事費上限40万円(個人)
合計上限115万円(個人)



都道府県からの補助金(2023年度実績)

都道府県対象補助金備考
東京都V2H本体
設置工事費
機器費及び工事費の1/2
上限額:50万円
国の補助50万円適用の事例
本体+設置工事費で110万円の場合
110×1/2-50=5
東京都の補助金は5万円
神奈川県V2H本体補助対象経費に1/3
上限額:25万円
下記いずれかの低い額
・本体価格の1/3
・本体価格-国の補助金
・上限25万円

各自治体(市町村)からの補助金(2023年度実績)

市町村対象補助金備考
横浜市V2H本体国の補助金及び神奈川県補助金を除いた額の1/2
上限額:15万円
綾瀬市一律5万円
海老名市一律3万円
鎌倉市一律2万円
相模原市一律3万円
川崎市一律5万円
南足柄市上限5万円/台
大磯町一律5万円
箱根町一律5万円
湯河原町導入費設置価格の1/2
上限5万円

実質いくらで導入できる?

V2Hを導入するのに必要な費用は①本体費用、②設置工事費用になり、そこから③各補助金支給され、その差額が実質費用になります。
※電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を所有されている前提

①本体費用

V2H本体費用はモデルにより変わります。
ニチコンのスタンダードモデルで54万7800円(税込)、プレミアムモデルで98万7800円、ほかメーカーからもいくつか機種が発売されており価格は55~140万円程度と幅があります。

②設置工事費用

V2Hは高圧電源機器であるため自分で取り付けはできなく、資格を持った業者に設置工事を依頼する必要があります。
費用はおおよそ30~40万円程度になるケースが多いようですが費用は家や駐車場の状況、設置する機種や配線の長さ、太陽光発電への接続により前後します。

③各補助金

既にご説明した国、都道府県、各自治体からの補助金になり、購入機種により支給額が前後します。

事例

事例1 

前提)
購入モデル:ニチコンスタンダードモデル
太陽光発電:無し
住まい  :東京都世田谷区

項目金額
①本体価格548,000円
②設置工事費用400,000円
③各補助金V2H本体274,000円機器費及び工事費の1/2
設置工事費400,000円上限40万円
東京都V2H本体0円(①+②)/2-国の補助金
世田谷区0円
補助金合計674,000円
実質費用(①+②ー③)274,000円
事例2 ニチコンプレミアムモデルの場合(太陽光発電無し)

前提)
購入モデル:ニチコンプレミアムモデル
太陽光発電:無し
住まい  :神奈川県横浜市

項目金額備考
①本体価格898,000円
②設置工事費用400,000円
③各補助金V2H本体449,000円機器費及び工事費の1/2
設置工事費400,000円上限40万円
神奈川県V2H本体250,000円上限25万円
横浜市V2H本体99,500
国の補助金及び神奈川県補助金を除いた額の1/2
補助金合計1,198,500
実質費用(①+②ー③)99,500円

V2H対応車種

世の中の電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)全てがV2Hに対応しているわけではりませんので注意が必要です。

下記では日本国内で販売されている車両でV2Hに対応しているものを参考で挙げています。
詳しくは各自動車販売店にご確認下さい。

電気自動車(EV)

メーカー車種名メーカー車種名
日産アリア三菱eKクロスEV
リーフミニキャブEV
サクラメルセデス・ベンツEOS
トヨタbZ4XEOS SUV
レクサスRZ3EQE
UX300-eEQE SUV
スバルソルテラヒョンデ(現代)KONA8
ホンダHonda eBYDATTO3
マツダMX-30 EV MODELDOLPHIN

プラグインハイブリッド車(PHEV)

メーカー車種名メーカー車種名
三菱アウトランダーPHEVマツダCX-60 PHEV
エクリプス クロス PHEVモデルMX-30 Rotary-EV

V2Hシステム種類と価格

各社から様々なV2Hが販売されていますがここでは参考にニチコンのEVパワー・ステーションについてご紹介したいと思います。
ニチコンは国内でV2Hの先駆けといってもよいメーカーで日産リーフの登場に合わせてV2Hを販売してきた実績があるのと高性能で比較的安価なモデルになっています。

ニチコンでは全部で3モデル販売しておりスタンダーモデルのケーブル長違い2仕様(V2H~車両までのケーブル)とプレミアの1仕様になります。

下記で注目頂きたいのは黄色箇所。
放電性能がプレミアムはAC202V、つまり200V電源がつかえるので200VエアコンやIHクッキングヒーターなど使用可能でスタンダードは100Vまでになります。

モデルVCG-663CN3
(スタンダードモデル)
VCG-663CN7
(スタンダードモデル)
VCG-666CN7
(プレミアムモデル)
サイズW 809 × H 855 × D 337mm(突起物除く)
本体質量88kg91kg
ケーブル約3.7m約7.5m
充電性能定格電圧AC202V
出力電力6kW未満
放電性能(系統連系時)定格電圧AC202V
AC出力電力6kW未満
放電性能(自立出力時)定格電圧AC101VAC202V
AC出力電力3kVA未満6kVA未満
設置環境設置条件屋外、標高2000m以下/-20℃~50℃
動作温度-20℃~40℃
運転時騒音40dB-A
操 作本体スイッチ本体スイッチ+スマートフォンによる操作
(専用アプリ, iOS/Android)
保証期間2年5年
希望小売価格(税抜価格)¥498,000¥548,000¥898,000

どこで購入できるの?

実際にV2Hって街中で売っているところはあまり見かけないと思います。
V2Hを導入する場合、大きく2つの窓口があり、一つは日産・三菱ディーラーなどのEV車両販売店で購入する方法、もう一つはV2H専門業者で購入する方法になります。
それぞれのメリットを簡単にご紹介したいと思います。

日産ディーラー

日本国内で電気自動車といえば、日産・三菱ですよね。
日産の「アリア」、「リーフ」、「サクラ」、三菱の「eKクロスEV」、「ミニキャブEV」と電気自動車を販売していますがどれもV2H対応車種になります。
電気自動車と相性がよいV2Hも日産・三菱ディーラーから購入すれば車両とセットで話が出来るのでスムーズですし間違えがないですよね。
但し、日産・三菱で購入する際はV2Hメーカーが「ニチコン」に限定されてしまうことです。
現在多くのメーカーからV2Hが販売されており色々他のメーカーも選択肢に入れたいのであればV2H専門業者から購入がよいでしょう。

V2H専門業者

V2H専門業者のメリットはやはり色々なメーカーのV2Hからご自分に合ったモデルを提案頂ける事です。
また、最新の補助金情報、V2H機器の仕様詳細などはやはり専門業者の方が詳しいので細かな相談が出来るのではないでしょうか。



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